医学部

Last-modified: Mon, 27 Apr 2020 08:40:38 JST (74d)
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概要

  • 医師の養成を目的とし、6年制を取る珍しい学科である。
    • ご存知の通り多くの学部学科は4年制。6年制の学科はここ以外には薬学部薬学科、歯学部歯学科、獣医学部(農学部獣医学科)ぐらいである。
    • ちなみに医学科以外の医学部としては、大学によっては一本化されていたり名称が違ったりするが、主に以下の2学科が挙げられる。
      ともに通常の大学と同じく4年制大学であるが、これらの専門学校(≠大学)も存在する。なお、これらの多くの大学は大学併設の医療技術短期大学部を医学部に併合して作られた。
      • 看護学科:看護師・保健師を養成(看護師の延長上に助産師があるので、そちらも間接的に含まれる。)
      • 保健学科:臨床放射線技師、臨床検査技師、作業療法士、理学療法士、臨床工学技士、救急救命士等を養成

大学入試

  • 医学部医学科は医師免許を獲得でき、職業に直結しているという利点があり、他学部に比べて少人数であるので、他学部学科に比べて受験者レベルも倍率も格段に高い。
    • 医師免許を獲得できる医師国家試験は、出身学部を問わない司法試験等とは異なり、基本的に医学部医学科を卒業しなければ受験できず、このことが法学部に比べてもいっそう受験者数増加を招いている。
    • 現役生一浪二浪生だけでなく多浪生、再受験生(仮面浪人のみならず、大卒後の再受験含む)も多数受験する。
    • そのため、駿台も既卒生向けに医学部専用のコース(いわゆるMクラス)を設けている。
  • 一般私立大学医学部の学費(6年間で約2000万~5000万円)に比べて国公立大学(一部私立大学、防衛医科大学校も)は学費が格段に安い(6年間で約350万円)ため(防衛医大に至っては卒業後防衛医大病院で勤務さえすれば学費タダ+給料ゲット、自治医大も卒業後地元の病院で働けば学費タダ)、一層競争率もレベルも高い。

センター試験

  • 特にセンター試験では86%以上の得点率が求められるため、厳しい戦いとなる。
  • 多くの近畿の医学部では例年センターボーダー(センター試験での合格率5割ライン)が86%以上である。84%は確実に取っておきたい。
  • 但し、ボーダーが85%前後の医学部もそこそこはあるので、90%取れなくても心配は不要である。
  • 稀にセンター試験80%程度(中には70%代)の得点率で東京医科歯科大、京都府立医大、滋賀医大、中には阪大医学部等に逆転合格する大物もいる。しかし、そのためには相当な高得点を二次試験で取る必要がある。
    • そのため、センター試験の得点率が低い合格者ほど優秀とされる、世間とは真逆の風潮があるが、センター逃げ切り型が圧倒的有利なのに変わりはない。
  • 神戸大、大阪市立大等は問題が標準的な事から二次試験でも高得点の争いになる為、二次での逆転は厳しいかも知れない。大学の出題傾向次第と言える。
    • 他の学部と問題がほぼ同じ医学部、特に地方医学部は二次で差がつきにくいため、尚更センター勝負になる。

二次試験(一般入試)

  • 前期日程で多く人数を取る大学がほとんどで、試験科目は英語・数学・理科2科目が主流である。
    • 医学部では前期日程(+推薦AO、地域枠)しか人数を取らない大学も多い。
    • センターと合わせて、理科3科目を課す大学もあった。
  • 東大京大名大など国語を課す大学もある。
  • 面接は全ての大学が行う(「面接」の項目を参照)。
  • 一部の大学では論文を課すこともある。後期日程だと大学の多くが論文を課す。
    • ただ医系論文は、通常の論文と違って、自分の主張を述べるものではなく、対策方法が特殊なため参考書や講座(医系論文など)できちんと対策しておくべきである。
  • 信州大学や宮崎大学など、試験科目が英語・数学のみなどの変則型を採る大学もある。
  • 山梨大学、岐阜大学、奈良県立医科大学など後期日程を中心に(あるいは後期のみ)人数を取る大学もある。
    • これらの大学は倍率も他の医学部に比べて格段に高くなることが多い。

面接

  • 全ての医学部で面接を課すため、面接対策は非常に重要。
    • 基本的に明らかに不適性な者を落とすだけだが、後期や一部私立などでは点数を大きく課すところもあるため注意。
    • 国公立でも点数如何に関わらず、面接で落とす大学もあるので要注意。
      • 筆記試験で高得点だった高卒認定の現役女子受験生を面接0点で落として新聞沙汰になった大学もある。
    • 駿台では通期では対策講座を取っていないが、夏期講習直前講習医学部面接対策なる講座を開設している。個人的に面接対策を行って下さるクラス担任も一部いらっしゃる。

女性・多浪生差別

  • 2018年の東京医科大学の裏口入学発覚をきっかけに同大学を捜査したところ、東京医科大学の入試での女性・多浪生の一律減点が取り沙汰された。
    • これをきっかけに厚生労働省による医学部一斉調査が行われた結果、なんと複数の医学部で同様の疑惑があることが発覚した。うち昭和大学のみその事実を認め、他は否定した。
  • なお、駿台や河合塾等の大手予備校は合格者データから女性、多浪生への差別が行われていることを前々から把握していたらしく、東京医科大学側に改善を求めていたが、要求は全て無視されていたようだ。

再受験

  • 建前上、年齢や経歴による差別はないことになってはいるが実在し、裁判沙汰になった国立大学も存在する。
  • ただし、再受験生と言っても実質二浪以下なら、普通の受験生と変わらないし、高年齢であっても理系の大学院修了者はむしろ歓迎される場合もある。
    • ゆえに、「再受験・高年齢の合格者が存在するから、その大学は差別はない」ということには一概にはならない。
  • ネットで流布されている「寛容度ランキング」は、実態とは当たらずとも遠からずといった程度なので、あくまでも参考程度にしよう。

推薦入試・AO入試

  • 医学部においても推薦入試、AO入試を課す大学が多い。
    • 一部大学では浪人生も対象にしているので、既卒生はそちらを狙うのもあり。
  • 入試学力が劣っていても合格が狙えるため、論文や面接の得意な人は利用しやすい。

地域枠

  • 不足が指摘されている地域医療に人員を補充するための枠。
    • 卒後の地域医療を義務付けられる反面、奨学金が貰え、さらに合格しやすいという利点がある。
    • 多少入試学力が劣っていても合格が狙えるため、地域医療への貢献を厭わない人は利用しやすい。
  • 近年は「地域枠の足抜け」の問題もクローズアップされている。
    • 入試の面接の際、受験生が「地域医療に貢献します」とアピールしたにもかかわらず、卒業後は指定された地域で働く約束を反故にし、貰った奨学金も一括返金して東京の病院に就職するケースが増えている。
    • その対策として厚生労働省は「地域枠医師を採用した都会の病院は補助金カット」という荒業に出た。実際、2019年には東京医大が「茨城県地域枠医師を大学病院本院(東京都新宿区)で採用した」ことが発覚して、補助金を大幅に減額された。これにより、地域枠出身医師は東京都内のメジャー病院に就職することが厳しくなった。

転部・編入試験・海外

医学部は極めてバイパスコースが少ないが、存在しないわけではない。

傍系進学・転部

傍系進学

  • 東京大学教養学部前期課程(理科II類10名・理科III類97名以外の全科類進学枠3名)、北海道大学総合教育部、金沢大学国際基幹教育院総合教育部からは医学部医学科(金沢大学は医薬保健学域医学類)への進学が可能である。
    • 医進、あるいは医転と呼ばれている。
    • いずれも超難関で再受験の方が楽とも言われる。

転部

  • 岩手医科大学では、歯学部のみ、2年次進級の際に医学部への転部が認められている。
  • 昭和大学や千葉大学は学則で転部を認めている。
    • 昭和大学では、学則第33条第2項で、「本学の医学部歯学部薬学部、保健医療学部の第1学年の学生で相互の学部へ転部を希望する者があるときは、選考の上、学年初めに限り、第2学年に転部入学を許可することがある。」と明記している。
    • また、千葉大学では、学則第25条第1項で、「本学の他の学部に転部又は所属学部の他の学科に転科を志願する者については、欠員のある場合に限り、別に定めるところにより、選考のうえ、相当年次に転部又は転科を許可することがある。」と定めている。
    • しかし、「許可することがある」に留めてある点に注意する必要があり、医学部医学科で欠員が生じた場合などに適用されるくらいなので、昭和大や千葉大の他学部に入学して転学を目指すのは非現実的である。

編入試験

編入学

  • 後述の学士編入とは異なる、いわゆる単位認定による飛び級。
  • 杏林大学、藤田医科大学は、大学卒業者で所定の単位を満たした一般入試合格者は、入学前に2年次編入が認められることがある。

学士編入

  • 一部の大学では2年次あるいは3年次への学士編入試験が行われている。
  • 募集はかなり少人数で、試験内容も各大学でまちまちである。
  • 東海大学、群馬大学など、一部の大学では文系でも合格可能な入試科目になっている。
  • 東京大学医学部医学科は、同学部健康総合科学科卒業者にのみ学士編入試験を実施している。
    • が、1名のみの超難関である。
      • 募集人員は若干名となっており、合格者0の年もある。
      • 平成24年度から29年度卒業生で2人。
  • 試験日程が重ならない限り、何校でも併願できる。
    • 例年、全国行脚する受験生は河合塾KALS生を中心に、ほぼ固定メンバーとなるらしい。
  • 合格者はやはり東大京大の理系出身者が多く、合格は非常に難しい。
    • 学士編入を目指して何浪もすると、編入の時間的メリットがなくなるので、一般入試を目指した方が早いとも言われる。 
  • 医学部学士編入試験の受験指導は、河合塾KALSの寡占状態である。

海外医学部

  • 海外の医学部を卒業した場合、国家試験を受験する前に厚生労働省の審査を受ける必要がある。
    • この審査では修学年数や成績、大学の教育水準などを見られる。
    • 成績も考慮されるため一概には言えないが、国内に事務局などの窓口を設けて学生を募集している海外の医学部を卒業した場合、基本的には審査を通過している。
  • 入学試験の科目数が少なく、国によっては日本より入学難易度が低い。
  • 日本より比較的学費が安い。
    • 学費の安さを求めて海外の大学の医学部に進学する学生も少なくない。
    • 先進国の医学部の学費は日本とさほど変わらないが、東欧や中国などでは生活費を考慮しても日本の私立大学より安く済む。

序列・学閥

  • かつてほど顕著でもないが医学部には序列構造(格、ランク)があり、高ランクほど医療界への影響力や研究成果が高い。
  • 一概には言えないが、国公立大は、一般的には
     旧帝大>旧医大>旧医専(新八+旧設公立)>新設(新々)
    の順に高ランクである。
    • 東京医科歯科大、横浜市大、神戸大など、入試難易度と格は必ずしも一致するわけではないので要注意。
  • 私大では、医・慈恵・日医の私大医御三家が別格である。
  • これも昔と比べてだいぶ影響力を失ったが、学閥による影響が大きいところでもある。
    • 例えば就職する際の病院選択などで学閥や出身大学系統の病院(いわゆるジッツ)だと就職しやすかったり、逆に対立している学閥出身の学生は冷遇されたりする。

医学部のキャリアパス

この項では大学入学後の医学部のカリキュラム、および就職後の医師業務における実情について説明する。

学部

  • 大学入学後も他学部と比べて特に忙しく、留年率が非常に高い学部と言われている。
    • 実際は大学においてピンキリであり、工学部の方が進級が厳しいところもある。しかし一部の私立や国公立(主に単科医大)においては進級が厳しく、実際に留年率が高いところもある。
      • これについてはネットで検索すれば各大学ごとの進級率や国試合格率を調べることができ、ある程度の確認が可能である。
    • 専門に上がると毎日朝9時から午後5時前まで全部必須科目ということも多い。
      • 一部大学では代返も厳しくなってきており、代返発覚時には留年処分とすることを学則に記載した大学も現れている。
  • 大学にもよるが、6年間の大まかなカリキュラムは以下の通り。
    • 1年生:教養教育
      • 近年は教養課程から進級が厳しくなっている大学が増えつつある。
    • 2〜3年生:基礎医学教育
      • 基礎医学を学ぶため暗記分野が多い。
    • 4年生:臨床医学教育
      • 実技試験OSCE、学科試験CBTが関門となる。これらの試験を合格しないと進級できず、留年が確定する。
    • 5年生〜6年生:病院実習(いわゆるポリクリ、クリクラ、BSL)
      • この2年間で様々な診療科を見学する。
      • 6年生では卒業試験(卒試)やPost-CC OSCE(実技試験)、医師国家試験(国試)などに合格しなければならない。また、初期研修先の内定を取るためにこの時期に就職活動をする。
      • 反面他学部で課せられる卒業論文はない。
  • 部活動は総合大学でも他学部と別に存在することが多い。
    • 特に、運動部は練習・試合のスケジュールがかなり過密で試験期間に全く勉強が出来ないケースも珍しくない。運動部経験の無い人は衝撃を受けるだろう。
    • またこの医学部専用の部活が存在するため医学部生が所属するサークルが少ない。
    • 運動部は東日本(山梨大学まで)であれば東医体、西日本(浜松医科大学以西)であれば西医体と呼ばれる年一度の大会に備えてかなり本格的に活動している。
  • 近年では大学在学中にUSMLE(アメリカの医師免許試験)を受験できるようにするために英語の授業を2年以上必須化している大学も現れてきている。
  • また、国公立でも学費が高めなだけでなく授業や試験合格のために必要な医学の参考書や国家試験対策書は専門書の中でも飛び抜けて高価である
    • もし足りないのであれば先輩などから譲ってもらったり、メルカリなどのフリーマーケットで購入するのも手。
      • ただし医療分野の知識内容は5年も経てば大きく変わるので、それよりも古いものはあまり参考にならない。
    • 解剖書など、1冊1万円を超えるものもある。
    • 参考として、ほとんどの医学部生が購入する参考書や問題集を最低限買い揃えるだけでも6年間合計で約20万円かかる。''(『病気がみえる』(2019年現在12巻まで刊行しているが全16巻刊行予定なので、未発行分は1冊税込3960円とみなして概算した)、『レビューブック』全6冊、『公衆衛生がみえる』、『QBオンライン CBT』、『クエスチョンバンク 医師国家試験問題解説』全7冊、『医師国家試験問題解説』1年分を購入したものとして計算した。)
  • 因みに国公立医学部の学費は(大学にもよるが)6年間で約360万円であり、私立だと6年間で約2000万円〜4800万円である。
  • 専門課程に入ってから(通常2年生から)は少しでも単位を落としたら即留年とする大学も多い。
    • 大学や年度にもよるが、約100人の入学者のうち平均4〜5人に1人程度が卒業までに留年を経験する。
    • しかも留年するとその年に取った単位を全て失い、もう一度全ての科目を取らなければならなくなるといういわゆる留年全再履制度(学年進級制)を取り入れている大学もごく一部ながら現れてきている。
      • かつては一部私大のみに留まっていたが、2016年度からは奈良県立医科大学、2019年度からは京都府立医科大学がこれを採用する事となった。
  • 留年しやすいのは、大学側が医学部としてとても重要な国試合格率を下げたくないというのもあるし、そもそもそういう人は国試を突破できないからだそう。
    • 私立では国試合格率が志願者数に直結しやすいので特に顕著。
  • 医学部を卒業できたとしても必ずしも医師国家試験に合格するとは限らず、落ちた場合は一年間浪人しなければならなくなる。いわゆる国試浪人である。
    • そのために国試向けの予備校も存在する。
  • 国試はセンター試験と同じくマーク式で、暗記するだけの試験であり点数が安定しやすく、数学や現代文の様に本番に失敗することは少ない。
    • 「センターくらいでへこたれていては国試を突破できない」とおっしゃる駿台の講師もいる。
    • 国試には禁忌肢問題というものが存在し、全400問中10問ある。実際の医療現場でしてはいけないこと(禁忌)を間違いの選択肢(禁忌肢)として選択肢に1つ混ぜているという問題だが、禁忌肢を4つ以上選んでしまうと、他が全部合っていても不合格になるという恐ろしいものである。
      • 実際稀ながらこの禁忌で落ちる人もいる。
  • また医学生は就職活動の代わりに病院と医学生のマッチング(医学生、病院両サイドの希望順位が高い順に内定を決定するシステム)によって研修勤務先を決定する。
    • 他学部と違いインターンシップ制度はないもののやはり就職希望先の病院見学は必要である。(たいてい5年生から行う)

就職後

  • 医師国家試験合格後、2年は研修を受けないと臨床医として出来ることが制限されてしまい(これは医師法で定められている)、そこからさらに3〜5年ほど研修を受けた上で認定医や専門医資格を獲得して初めて一人前の医師になれる。
  • 開業は早ければ30代くらいから出来るが、それまでは専門医などの資格を取るために勤務医として働かなければならない。
  • 勤務医の場合は週60時間以上労働や月80時間を超える残業が多くの大病院で見られるブラック職業でもある。そのため過労死・過労自殺する医師も年々いる。(月80時間(年960時間)以上の残業をすると過労死する恐れがあり、過労死の労災認定基準となっている。)
    • これは医師には応召義務(特別の理由がない限り患者からの依頼を受けなければならない義務)が存在すること、院長をはじめ先輩医師がサービス残業をこなしていたことから病院内で残業は当たり前という慣習があること、医師には診療以外にもレセプト作成や会議など多くの業務があることなどが原因とされている。
    • 2019年に働き方改革の一環で厚生労働省により医師の残業上限が設けられ、当直明けの日は休みとすること(休みを取ることができない場合は有休を与える)などが決定された。

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