原点からの化学シリーズ

Last-modified: Fri, 15 May 2020 18:36:28 JST (1434d)
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石川正明先生の著作。

概要

  • 「原点からの化学」シリーズは「新理系の化学」よりもターゲット層を落とし、より丁寧な解説を試みた書籍である。
    • 元々石川正明先生の著書として「新理系の化学」シリーズが存在している。「新理系の化学(上)」「新理系の化学(下)」の2冊で化学全体の内容を網羅し、「新理系の化学問題100選」でハイレベルな演習を積むことができるというものである。
    • しかし、これらに対しては「よくわかった」という反響とともに「ついていけない」という反響が常にあった。そのため、そのようなついていけない層をターゲットとして「原点からの化学」シリーズは執筆された。
  • 「原点からの化学」シリーズは「化学の理論」「無機化学」「有機化学」「化学の計算」「化学の発想法」の5分野からなる。
    • 「化学の計算」「無機化学」「有機化学」の3冊で化学全体の内容を網羅する。また、「化学の計算」では化学全分野で登場する計算問題の解法が網羅されている。
    • 「化学の発想法」ではより根本的に化学がどういう前提を置いているのか、どういう歴史を辿りながら発展してきたか等が丁寧に解説されている。
  • 本書のコンセプトは「化学の様々な分野について、できるだけ原点から説明していく」である。
    • 解説が非常に丁寧な分、記述量は多い。要項解説だけで3分冊となり、各書とも300ページ以上ある。ただし、ターゲット層を落とした分、身近な例や比喩的な解説も多く盛り込まれており、一般の理系書籍に比べるとかなりストレスフリーに読める。くだけすぎている感もある
    • 「原点からの〜」というタイトルであるが、決して初学者を対象とした書籍ではない。ターゲット層が低いので、解説のレベルはかなり落としてあるのだが、内容そのものはハイレベルである。例えば、学習指導要領外の内容として混成軌道や電子論なども解説されている。むしろ高校化学の知識・概念をある程度学んだ状態で読み進めたい。
  • オンデマンドにて、本シリーズに対応する講座が設置されている。
    • 詳細はこちら。本書の学習の補助として使うもよし、逆に映像授業の方を学習のベースとしつつ本書を補助として使うもよしである。
  • 大学入学後も引き続き使うことができる。
    • 本書は、学習指導要領外の内容も盛り込むことにより、大学の講義に近い体系で根本から理解しながら学べるようになっている。高校化学のようなむやみやたらと暗記に比重を置く記述にはなっていない。
    • 大学では、当然ながらきちんとした専門書で学ぶことが要求される。ただし、大学では、理解に苦しむ部分があって他の資料を読み比べる場面や、レポート作成時などで高校化学まで立ち返らなければならない場面などが多くあり、そうした場面では本書を役立てることができるだろう。
    • 大学1〜3年生の、専門基礎を学んでいる期間および実験の授業がある期間で、補助教材として役立てると良い。大学3〜4年生以降で、専門的な研究を始めると、専門書ベースで学習して得た知識や、論文を読んで得られる最新の知見が大切になってくる。
    • 下手な専門書を使うよりずっと役立つという意見もある。

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