走れ表

Last-modified: Wed, 30 Oct 2019 17:59:42 JST (1633d)
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244:名無しさん@受験生速報
12/09/30(日) 22:46:47 ID:???
表は激怒した。
必ず、かの邪知暴虐の竹岡を除かなければならぬと決意した。
表には英語がわからぬ。
けれども前から訳すことに対しては、人一番に敏感であった。
今日未明表は家を出発し、野を越え山を越え、この緑地の公園にやって来た。
歩いているうちに表は、駿台の様子を怪しく思った。
ひっそりしている。
夜のせいばかりはでなく、駿台全体が、やけに寂しい。
のんきな表も、だんだん不安になってきた。廊下であった浪人生をつかまえて、何かあったのか、 二年前にこの駿台に来た時は、夜でもみなが歌を歌って、にぎやかであったはずだが、と質問した。
浪人生は、首を振って答えなかった。
しばらく歩いて三浪生に会い、今度はもっと、語勢を強くして質問した。
三浪生は答えなかった。
表は両手で三浪生の体をゆすぶって質問を重ねた。
三浪生は、辺りをはばかる低声で、 わずかに答えた。
「竹岡様は、参考書を買わせます。」
「なぜ買わすのだ。」
「英語の成績が伸びる、というのですが、だれもそんな、成績が伸びてはおりませぬ。」
「たくさんの本を買わせたのか。」
「はい、初めはドラゴンイングリッシュを。それからご自身の面白いほどかける英作文を。 それから、夏期講習を。それから、冬期講習を。それから、直前講習を。」
「驚いた。竹岡は乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。他人が教える英語には、ホタルの光を、歌うのです。」
聞いて、表は激怒した。
「あきれた講師だ。生かしておけぬ。」

252:244
12/09/30(日) 23:34:19 ID:???
大好評につき、続き。

暴君竹岡は、二人の様をまじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、わしに勝ったのだ。受験英語とは決して、ほぉ~たぁ~るのぉ~~、ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。おまえらの仲間、共産党幹部にしてほしい。」
どっと群衆の間に、歓声が起った。
「英作文の鬼、竹岡様万歳!」
ひとりの少女が、緋のマントを表に捧げた。
表は、まごついた。
よき友は、気をきかせて教えてやった。
「表、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、君のナニを、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。
前から訳すのに前から隠さないでどうする。」
「ぁ・・・///」
表は、ひどく赤面した。

------後日談-------
「表先生は、まともな授業をしません。」
「なぜしないのだ。」
「雑談7割、日本語訳読み上げ2割、適当な解説1割なのですが、だれもそんな授業、聞いてはおりませぬ。」
「たくさんの雑談を話すのか。」
「はい、共産党についてを。それからご自身の武勇伝を。 それから、人の悪口を。それから、自慢話を。」
「驚いた。雑談は面白いのか。」
「いいえ、面白くございませぬ。ただ、笑わないと『お前ら笑えよ!』と強制するのです。」
聞いて、ふーたんは激怒した。
「あきれた講師だ。生かしておけぬ。」

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